- 御朱印を書く仕事をしてみたい
- 字を書く仕事に興味がある
2024年のお正月に初めて神社で御朱印書きの筆耕助勤を経験した私が、2025年も同じ神社で筆耕助勤をしてきました。
前回同様に筆耕助勤募集が開始されてから履歴書を送り応募。
「ぜひ今年もお願いします!」と受け入れて頂けたこと、とてもうれしかったです。
この記事では、2年目の筆耕助勤で感じた成長と課題、そして御朱印書きをやってみたい方にとって気になる情報を体験談をまじえながらお話します。
「御朱印書きをやってみたい」「筆耕に興味がある」という方はぜひ最後までご覧ください!
2024年のお正月の神社筆耕助勤の体験談については、以下の記事をご覧ください。
2025年お正月の神社筆耕助勤体験談
筆耕助勤スケジュール
今年の私の助勤スケジュールは以下の通りでした。
- 2025年1月1日(水) 8:00-20:00
- 2025年1月3日(木) 8:30-20:00
- 2025年1月4日(金) 9:00-19:00
神社や寺院によって助勤日程の決め方はまちまちだと思いますが、私の助勤した神社では、勤務表の筆耕助勤をしたい日に○を付けて応募します。
今回、私は上記とは一部別日程で申請を出していましたが、他との調整で変更可能かを確認されました。
個人的には特に問題はなかったので調整頂いた通りの助勤となりました。
筆耕助勤に行くことに関しては、家族も応援してくれているので、日程調整にも対応しやすかったよ。
神社筆耕助勤2年目で感じた成長と課題
助勤内容は同じでも、1年目と2年目では感じ方が大きく異なりました。
成長を実感する場面もあれば、まだまだ克服すべき課題があると気づく場面も。
では、具体的な出来事を振り返りながらお話しします。
- 字を書くスピードの成長
- 文字サイズの調整
- 書き損じゼロ
- 心の余裕がもたらした変化
- 体のケア
- 助勤仲間との再会
字を書くスピードの成長
1年目は、周囲のベテラン筆耕さんと比較して字を書くスピードの遅さに劣等感を覚えました。
私が1体の御朱印を書く間にベテランの筆耕さんは既に2、3体書き上げており、実力差を痛感しました。
1年目は字を書くのが遅い上になんて下手なんだ…と嫌悪感で凹んでばかりいたな…
しかし今年は、周囲との書くスピード差はあまり気にならなかったのです。
お正月の御朱印書きでの最優先は字を書く速さ。
とにかく多くの注文をさばかなければならないため、一画一画丁寧になんて書いてはいられません。
昨年の惨敗を克服すべくこの1年を通じて取り組んだのが、制限時間を決めて賞状1枚を書きあげる練習を繰り返すこと。
もちろん、練習では速さだけではなく美しさも意識してきました。
「速く、美しく」という課題を掲げて練習してきた成果が今年の助勤で実感できたことはとてもうれしかったです。
とはいえ、やはり速さに意識を取られると、どうしても筆の入りや止払いなどの点画が雑になってしまいます。
次回は速さと美しさのバランスをさらに追求していきたいと思います。
文字サイズの調整
1年目の助勤時には、ベテランの筆耕さんに「字が大きい」と指摘を何度か頂きました。
御朱印には、その神社や寺院特有の装飾や印が含まれるため、字のサイズや配置は重要ポイントなのです。
2年目の今回は、この点を強く意識して取り組むことができました。
特に、自分の癖である「大きめの字」を抑えることは普段の賞状書きの練習でも下書きを気持ち小さめに書くようにするなど、強制的に行ってきました。
字が大きいことは、のびのびと元気に見えてよい場合もあるけれど、内容によってはそぐわない場合もあるので、調整できる技術は必要だよ。
ただし、御朱印帳のサイズは1サイズではありません。
たまにある小さなサイズ・大きなサイズの御朱印帳の書き入れが自分の担当になると、ちょうどよいサイズ感や配置で書くことは納得のいく仕上がりにできなかったことが度々ありました。
こうした場面で、どんなサイズの御朱印帳を書く場合でも即座に対応できるスキルを身に付けることが今後の課題だと感じています。
書き損じゼロ
1年目の助勤では、3日間の助勤中に3回も書き損じをしてしまい、その都度落ち込んでいました。
今年はなんとか「書き損じゼロ」で助勤を終えることができました。
普通に考えれば「書き損じゼロなんて当たり前でしょう…」と思われるかもしれません。
でも、筆耕者も人間です。
下書きなし・スピード重視で対応する御朱印筆耕は、常にプレッシャーがかかっている状態にあり、1体書き終えるごとに、ミスなく書けたことに安堵するもの。
特に初心者の筆耕士にとっては書き損じなく終えられることは決して簡単なことではないと私は思っています。
ミスが減ると、自然と自信が持てるようになります。
こういった成功体験を少しずつ積み重ねていくことが、筆耕士として成長するためには必要です。
心の余裕がもたらした変化
今年の助勤では、1年目の助勤時にはなかった心の余裕がありました。
例えば以下のようなものです。
- 御朱印の受付~お渡しまでの流れがわかっているため、助勤初日の開始直後からスムーズに作業に着手できた
- 初めて助勤されている方の質問に答えたりアドバイスができた
- 御朱印受付での参拝者と受付担当者とのやり取りに耳を傾けられることが度々できた
気持ちに余裕ができると、様々な発見もあり昨年よりもさらに助勤を楽しむことができました。
一方で、多くの御朱印受付が入って朱印所全体が忙しい時間帯には、周りを見る余裕もなくなり、受付や印を押す巫女さんとの声かけの連携もおろそかになってしまいました。
朱印所は巫女・筆耕のチームプレイで成り立つ場所なので、忙しい時こそ活気ある行動で盛り上げられると作業も円滑に進められるものと感じています。
体のケア
昨年は、3日間の筆耕助勤により指に水ぶくれができ、とても痛い思いをしました。
小筆を持つ指に力が入ってしまうことが私の長年の課題であり、長時間の筆耕に耐えられるのかという不安要素でもあったのですが、案の定、ダメージが…
昨年は助勤後数日間は筆を持つことができなかったな…
しかし、今年はそのようなことが一切なく、翌日にも4時間ほど筆を持ち賞状書きの練習ができる余裕もありました。
実は今年初日の助勤後に水ぶくれができそうな気配を感じて、早めの段階で水ぶくれができそうな箇所をガードして筆が当たらないように気を付けました。
また、直近半年ほどは筆を持つ機会も増やし、その都度、ガチガチに力が入りすぎないよう、書く前に手のストレッチをしたり、筆を軽く持つことを意識的に行ってきました。
多少は効果があったでしょうか。
筆耕士の手は大事な商売道具なので、長時間の作業にもしっかりと力が発揮できるよう、鍛えることとその都度のケアは継続していきたいところです。
助勤仲間との再会
1年目の助勤でご一緒した助勤さん複数名と再会することができました。
助勤中はそれほどお話できるわけではありませんが、「去年は○○だったけれど、今年は○○だね~」のようなちょっとした話ができるのもうれしかったりします。
若い方~年配の方まで、幅広い年齢層の助勤さんと繋がることは学びも多く、他の助勤さんとご一緒している間は常に有益な情報をゲットしようと、私自身アンテナを張っているような状態でした。
普段在宅など一人で作業している方であれば、他の筆耕さんと一緒に作業できる場はとても有意義な時間になるよ。
直書きの御朱印書きで難しいところ
神社や寺院によって、御朱印は書き置きしか用意がないところもあれば、持参した御朱印帳に直接書き入れすることに対応するところもあります。
私が助勤する神社では、書き置きの用意もありますが、大半は御朱印帳に直接書き入れです。
直書きで御朱印を書くことは、書き置きとは異なる独特の難しさがあると感じています。
特に参拝者が持参する御朱印帳は多種多様で、それに応じた柔軟な対応力が求められます。
ここでは、私が助勤時に感じた直書き特有の課題や注意点を具体的に紹介します。
- 御朱印帳の多様性に合わせた書き方
- 書き入れするページ裏側の状態に注意が必要
- ミスが許されない緊張感
- 混雑時のプレッシャー
御朱印帳の多様性に合わせた書き方
参拝者が持参する御朱印帳には、紙質やサイズに大きな違いがあります。
そのため、一筆目を入れる瞬間に紙の特性を見極めることが必要です。
例えば、紙質によっては以下のような点に注意して書くようにしています。
- 墨がにじみやすい紙
-
墨の量を減らし、筆を軽く運ぶ。
- 墨をはじく紙
-
筆にたっぷり墨をつけ、しっかり筆を乗せるように書く。
- 墨が乾きにくい紙
-
乾燥時間を考慮しつつ、慎重に作業を進める。
また、御朱印帳のサイズも注意が必要です。
たまに通常よりもかなり大きなサイズの御朱印帳を持参する方もおり、その場合は文字の大きさや配置を即座に調整しなければなりません。
こうした即応力は、経験を重ねる中で徐々に身についていくものだと感じています。
書き入れするページ裏側の状態に注意が必要
御朱印を書き入れするページの裏側の状態も影響を及ぼす場合があります。
例えば、裏面に切り絵などの凹凸がある御朱印が貼られている場合、書く面がデコボコして非常に書きづらいことがあります。
こうした場合には、筆圧を抑えることや文字の配置を微調整するなどの工夫が必要です。
少しの不注意で字形が乱れる可能性があるため、集中力が必要な作業になります。
ミスが許されない緊張感
直書きは一発勝負です。
ミスが許されない緊張感が常に伴います。
今回の助勤では私自身書き損じはしませんでしたが、細かなヒヤリとする場面が多々ありました。
例えば以下のような場面です。
- 日付印を押す際、一部が切れてしまい、筆で補うことが度々あった
- 隣のページに書かれた御朱印が完全に乾いていないことに気づかず触れてしまい、書くページを汚してしまった
また、上記以外でも考えられる失敗例としては、参拝者が指定したページとは異なるページに書いてしまうということです。
多くの御朱印書きをしてみて気が付くのですが、意外なことに、御朱印のあるページから数ページ開けて書いてほしいというような注文は結構多いのです。
どこのページに書き入れするかは受付時に目印を付けてもらいますが、それでも御朱印帳が筆耕に回ってきたときにどこのページからどちらの向きに書いていけばよいのか不明なことも。(※1冊の御朱印帳に複数お書入れする場合)
たった1つのミスが印象を大きく変えてしまうので、少しでも気になること・わからないことがある場合には、自己解決せずにすぐ周りに相談することがとても大切です。
混雑時のプレッシャー
御朱印は人の手で一つずつ書き上げるため、混雑時にはどうしても時間がかかります。
特にピーク時には、参拝者をお待たせしてしまうことが多く、プレッシャーが増します。
例えば、「まだできてないの?」と朱印所の窓口から聞こえてくる参拝者の声により、焦りを感じることもしばしばありました。
御朱印のお渡しを待っている参拝者の中でも、長時間待ってイライラされている表情がちらりとでも見えると、心苦しく思うんだよね。
しかし、焦りはミスを引き起こす要因になります。
「速く書く」ことはお正月の御朱印筆耕において必要なことではありますが、いかなる状況でも気持ちを落ち着けて作業を進めることが重要です。
御朱印を書く人になるにはどうすればよいか
筆で字を書くお仕事をしてみたい人が、神社や寺院での御朱印書きに興味を持つことは多いです。
でも、どうすれば御朱印を書く仕事ができるのかわからず、行動できずに終わるパターンも。
それもそのはずで、ネット上での募集は少ないのが現状です。
私の知り合いの筆耕士で神社で助勤されている方や、人づてに聞いた話では、
- 神社・寺院関係者から直接声をかけてもらった
- 知り合いから紹介してもらった
というパターンは結構多いです。
とはいえ、私のように運よくネット上で募集を発見できる場合もあります。
一度助勤を経験できれば、以降同じ神社・寺院であれば敷居は低くなるので、気になる方はぜひあきらめずに行動してみてください!
御朱印を書く人になるには書道経験は必須
神社・寺院で筆耕をするには、書道経験が必要になります。
おそらく、ただ「書道経験」とだけ前提条件に挙げられている場合が多いかと思います。
となると、「書道経験ってどの程度の?」と思われる方もいるかもしれませんね。
どの程度のレベルが必要なのかわからないと、自分なんかが応募してもいいのだろうか…と不安に感じるよね。
これは私自身の感覚ですが、
- 書道経験が数年ある
- 周囲の人に字がきれいだと褒められることがある
- とにかく筆で字を書くことが大好き
であれば、自信を持って応募してよいと思っています。
ほとんどの場合は採用側としても履歴書しか判断材料はありません。
履歴書に書く志望動機や書道経験・筆耕経験(あれば)で助勤をしたいという熱意を伝えられればOKです。
書道系の資格を持っていれば採用に有利か
前述している通り、書道経験さえあれば応募はできます。
そもそも筆耕というお仕事自体、資格など持っていなくてもできますからね。
「書道○段」「賞状○士」などの書道系資格を所持しているとアピールしていても、実際にはレベルもまちまちですし、そのような資格を持っていなくても仕事を難なくこなす方もいます。
なので、資格を持っていないからといって採用してもらえないなどということはないでしょう。
とはいえ、資格を持っていれば、
- 資格を取得するために何年も書道に触れてきた人
- 目標に向かって努力できる人
ということは採用側にも伝わります。
ですから、募集に対してたくさんの応募があり、採用不採用を選ばなければならないような場合には、やはり履歴書でアピールできる資格があると有利なのではないかと考えています。
採用の基準は神社・寺院によって異なるけれど、欲しい人材はどこも変わらないはず!字がほどほどに上手くて真面目で頑張れる人。
お正月の神社・寺院の筆耕助勤はどんな人におすすめか
私がお正月の神社や寺院での筆耕助勤をおすすめしたいのは以下のような人です。
- 御朱印を書いてみたい人
- 小筆を持つことに慣れている人
- 本業があるため期間限定で筆耕をやってみたい人
- 筆耕士仲間がほしい人・他の筆耕士と一緒に働いてみたい人
私自身、普段は会社員として働いているため、筆耕は限られたわずかな時間で行っています。
私のように副業で筆耕をされている・やりたいと考えている方には、特にお正月期間限定の神社・寺院の筆耕助勤はおすすめです。
短期間で、
- 筆耕現場に出て作業ができる
- 他の筆耕士と一緒に働ける
- オフラインでお客様(参拝者)に筆耕をお届けできる
という経験ができるので、筆耕実績を積むにも最適です。
それから、小筆を持つことに慣れている方ならなお良いと私個人的には思っています。
書道経験があると言っても、大筆しか持ってこなかった方がいきなり小筆を長時間持って仕事ができるかと言われると、おそらくツラいと思います。
私自身も、14年以上前に実用書道を習い始めたときには、小筆での字の書けなさに泣いたな…
それくらい、大筆と小筆は違うのです。
ですから、いつか筆耕をやりたいと考えている方で、小筆経験がほとんどない場合には、まずは小筆メインの実用書道を学ぶことからおすすめします。
- ひとまず小筆に慣れるために実用書道にチャレンジしたい方におすすめ!
- 将来的には筆耕の花形「賞状書き」もできるようになりたい方におすすめ!
神社での御朱印書きで清々しい1年の始まり
2025年お正月も神社での筆耕助勤からスタートさせることができました。
筆耕をするものとしてはこの上なくありがたい時間であり、神社という神聖な場所のパワーも感じられモチベーションになりました。
また、1年目の時の反省点を活かして2年目の助勤に臨めたことや、新たな課題も見えてきたことも大きな収穫でした。
場数を踏み、その都度PDCAサイクルを回すことで筆耕士としてのレベルアップも見込め、自信にもつながると今回の経験で強く感じました。
私自身、まだしばらくは筆耕は副業としてやっていく予定なので、お正月の筆耕助勤のようにスポットで筆耕経験が積めるチャンスを確実にものにしていきたいと思っています。
2024年のお正月の神社筆耕助勤の体験談については、以下の記事をご覧ください。
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