- 賞状技法士1級認定試験を受験予定
- 賞状技法士1級認定試験の概要を知りたい
- 賞状技法士1級認定試験に向けてどんな準備をしたらよいか知りたい
- 賞状技法士1級取得後の講座受講について知りたい
賞状技法士の最高位である1級。
賞状技法士の中でも1級だけは公開試験が行われます。
賞状技法士1級認定試験を今度初めて受験するんだけど、どんな感じなんだろう?
これから賞状技法士1級を目指す受講生は、
- 1級試験ってどんな感じなんだろう?
- 難しいのかな?
- どんな準備が必要なんだろう?
- 1級に合格したらその後どうするんだろう?
など、気になる点は多いはずです。
それもそのはず。
ネット検索しても1級試験についての情報はそれほど多くはありません。
でも、受験するからにはそれなりの準備をして臨みたいですよね!
今回は賞状技法士1級認定試験について、4度受験した私の体験も混じえてお話します!
賞状技法士1級認定試験の概要
実施時期・受験地・試験内容など
実施時期 | 11月中旬頃(年に1回) |
受験地 | 銀座、大阪 |
受験資格 | 特になし |
受験料 | 会員:7,700円 一般:11,000円 |
試験日程 | 午前2時間半、午後2時間半 |
試験内容 | 午前1問:与えられた賞状の文案を作成 午後1問:同上(※ただし、午前とは別問題) |
賞状技法士1級に合格すると、別途29,700円(認定料)がかかります。
午前と午後それぞれ1枚ずつ賞状を書くんだね!
そうなの。
午前と午後で用紙サイズや縦横、枠の有無が異なるお題が出されることが多いよ!
参考書などの持ち込みについて
試験会場には、賞状のレイアウトやお手本などのテキスト類を持ち込んでもいいのかな?
賞状レイアウトには細かいルールがたくさんあり、全部覚えることはなかなか大変なんですよね。
でも、安心してください!
賞状技法士1級認定試験は参考資料の持ち込みはOKです!
なので、レイアウトルールを覚えていなくても問題ありません。
よかった〜♪
レイアウトルール、なかなか覚えられなくって…
1級取得している私だって、こういう場合はどうするんだっけー?っていうパターンは今でもあるからね。
試験当日、会場に持ち込む資料は人によって様々です。
- 講座で使った資料をそのままドンとファイルに閉じて持ってくる人
- 要点だけをまとめた資料を作ってそれを持ち込む人
- 電子化した資料を見るためのスマートフォンやタブレット端末を持ち込む人
講座開始時〜受験直前までに使った賞状のテキストや資料全部となると、膨大な量になります。
1級試験対策用に要点をまとめた資料を作ったり、賞状のレイアウトパターンを縮小コピーしておくなど、コンパクトにまとめておくといいですよ!
- 試験当日の荷物が軽くなる
- 試験中、確認したい内容が探しやすくなる
- 試験当日に限らず、普段の勉強がしやすくなる
特に試験中は制限がある(時間、作業スペースなど)から、資料を見やすくまとめてあるかどうかで作品をスムーズに作り上げられるか、決まってくるね。
試験中にバタバタするのは嫌だし、事前に準備して行こうっと!
ITに強い方であれば、資料を電子化しておくのもおすすめです。
ただし、試験当日に電子データを利用する場合は注意が必要です。
試験中に閲覧用の電子機器の充電が切れないように気をつけましょう!
試験中に持ち込んだ電子機器の充電が切れてしまって、それ以降のレイアウト作成自体が満足にできなかったっていう事例もあるんだって(先生談)。
それはショックだね。
この日のためにたくさん練習もしてきただろうに…
電子データを持ち込む場合は、
- 電子機器は充電しておく
- 万が一を想定してモバイルバッテリーは持参しておく
ということを気に留めておくとよいでしょう。
賞状技法士1級合格の難易度は?
ところで、賞状技法士1級の難易度ってどれくらいなんだろう?
賞状技法士1級試験の難易度を合格率で見れば「難しい」です。
その年にもよりますが、近年の受験者に対する合格者はこんな感じです。
受験者:60〜70人程度
合格者:4〜6人程度
合格率は10%未満!!
えぇ!!
そんなに合格率低いの!?
そう、なかなかの狭き門なんだよね…
講師の先生情報によると、合格者の人数や割合はもちろん決まっているわけではないそうです。
ただ、私がこれまで見てきた限りではだいたい毎年合格者は5人前後といったところです。
3級〜準1級は講座受講と認定課題クリアが認定基準なので、よほどのことがない限り落ちることはありません。
なので、1級合格は難しいと事前に分かってはいても、試験を受けて不合格だと結構ショックなものです。
でも、中には1発合格する人もいるわけだからね。
頑張り次第で自分の合格率は上げられるよ!!
1級試験受験体験談
4回目で悲願の合格!
私は賞状技法士1級認定試験に4度目で合格しました。
「合格」の文字を見たとき、うれしすぎて一人で大泣きしたな〜。
4度目での合格がどんなもんなのかというと…
平均〜気持ち早め?くらいのようです。(先生談)
受験者の中には10回受験しても受からない人もいるそうです。
10回!?
10年も受け続けるなんて、私だったら途中で挫折しそう…
ほんとそう。
シンドイよね…
とは言っても、中には1回で合格する人もいるんですよ。
ただし、そういう人は、
- 既に他の実用書道関連の資格を持っている
- 既に筆耕士として活動されている
という場合が多いようなんです。
結局、どれだけ筆を持っているか、なんだよね。
ちなみに、私の4回の受験はこんな感じでした。
- 1年目
-
準1級取得後、約半年で初受験。レアウトに時間をかけすぎて撃沈。
- 2年目
-
レイアウトミス(自覚あり)でアウト。
- 3年目
-
最終審査(※ベスト10くらい)まで残っていたらしいが、他受験生との比較で不合格(先生談)。
- 4年目
-
手応えあり!!で、めでたく合格♪
どれくらい練習した?
私の1級試験直前3ヶ月の練習量はこんな感じでした。
- 1〜3回目の受験時
-
週2日程度、1日につき3時間程度(週末メイン)
- 4回目の受験時
-
週5〜6日程度、1日につき3〜4時間程度
やっぱり合格した年は練習量がちがうね!
1〜3回目のときの練習量はさすがにちょっと少なすぎるよね。汗
これではダメだというのは分かってはいたのですが、1〜3回目の頃は仕事も残業続きで、平日にはなかなか練習時間を取れていませんでした。
なので、案の定本番も撃沈でしたね。
じゃあ、4回目のときはどうしてこれだけ練習時間を確保できたの?
その頃、私はちょうど第一子の産休&育休中というタイミングだったんだ。だから、日中暇さえあれば筆を持つようにしていたよ。
書道は練習したもん勝ちということをこのときすごく実感しました。
とはいえ、この頃も毎回まとまった時間を取れていたわけではありません。
生後1,2ヶ月のベビーには頻繁に呼ばれるからねw
ではどうしていたのか。
- スキマ時間はとにかく筆を持つ
- 賞状1枚を書き上げる時間がなければポイント練習にあてる
ひたすらこれを繰り返していました。
いつでもすぐに筆を持てるように紙と筆は所定の位置に常設していました。
そして、時間ができれば10分でも筆を持つようにしていました。
また、ポイント練習では、例えば20分くらいしか時間が取れないならば、この時間は表題だけをひたすら書くといった方法を取っていました。
そうすることで、短い時間でも「この部分だけは前よりも上手く書けるようになった!」という達成感がありましたね。
小さなことの積み重ねが最終的には大きな成果になるよ!
賞状技法士1級試験に向けてやるべきこと
レイアウト作成の練習
賞状技法士1級試験を受ける場合には、やはり試験対策は必須です!
とはいえ、初めて1級試験を受験する場合には何をやったらよいかわからないと思います。
勘違いしがちなのは、「字が上手ければよい」という考え。
そもそも、1級試験を受験するような人たちは基本みんな字は上手だから、字の上手さではそれほど差はつかないと思っておいたほうがいいよ。
となると、どこに重点をおいた対策が必要か。
それはズバリ、レイアウトの美しさ(字の大きさ、文頭文末の位置、行間など)です。
ある程度まとまった練習時間が取れるならば、レイアウト作成の練習を最優先にするべきです。
レイアウト作成って時間もかかるし、どうしても後回しにしがちなんだよね…
レイアウト作成の練習とは言っても何をやるかは人それぞれにはなります。
が、まずは基本的なルール(例えば、A3枠なし縦書きの場合の表題、受者、主文、贈者の文字幅のパターンなど)はある程度感覚的にレイアウトできることは前提です。
私は4回目の受験前には、
- 初見の文章のレイアウトを積極的に作成してみる
- 賞状技法士1級試験の過去問のレイアウトを作成してみる
ということを可能な限りやっていました。
試験ではもちろん初見の文章のレイアウト割付をするわけなので、初見でもサラッとレイアウトできるようにしておくことが必要です。
また、賞状技法士1級認定試験の問題は、ぱっと見シンプルなレイアウトのようで、たいてい1、2箇所は受験者を悩ませるようなポイントがあります。
なので、過去問をやってみることで試験の性質を知っておくことも大事です。
過去問をやってみて、そのレイアウトのポイントとなる箇所を挙げてみよう!
それから、コレは言っておきたい!
1級試験を受験するなら練習でライトテーブルを使うのは控えたほうがよいでしょう。
筆耕士が仕事をする上での必需品でもあるライトテーブル(※私はライトパッドを使用)。
それを早い段階(1級未取得時)から使っている方もチラホラいるようですが、私個人的にはオススメしません。
理由は単純で、ライトテーブル(=既にあるレイアウトを写して書く)を使うことで自分の頭で考えてレイアウト作成をする機会が減ってしまうからです。
レイアウトは頭で考えて、手を動かして何度も書かないと身につかないよ!
もちろん、絶対使ってはいけない!というわけではありません。
- 書写でたくさん字を書く練習をしたいとき
- お仕事として作品を制作するとき
こういった場合にはぜひライトテーブルは有効活用してください!
1級試験対策では、とにかく自分の手で何度もレイアウトを書くことが大事!
制限時間を意識した練習
1級試験で最も大変だと思うことは、時間が足りないということです。
1枚書くのに2時間半もあるなら、余裕がありそうな気はするけど…
2時間半もあるなら余裕でしょと思われるかもしれませんが、これがまぁ大変なんですよ。
何が大変かというと、
- 初見の文章でレイアウトを作らなければならない
- 緊張して手が震えてスムーズに字が書けない
こういったことがあります。
私は本番すごく緊張してしまうタイプで、筆を持つと手が小刻みに震えてしまって、書き始めるまでに毎回時間がかかってたよ…
それだけでも結構時間ロスしちゃうんだよね。
2時間半の試験時間の時間配分を考えて、それを実践してみる練習は絶対に必要です。
例えば、私ならこんな感じで時間配分します。
※あくまでも一例です。
- 20分
-
レイアウト(割付)を考える
- 20分
-
賞状用紙に線を引く
- 30分
-
文章を下書きする
- 10分
-
誤字脱字をチェックする
- 5分
-
不要紙の裏に筆で試し書きする
- 50分
-
清書する
- 10分
-
下書きを消しゴムで消す(
墨が乾いていることは確実に確認!)
合計:145分(2時間25分)
この流れで上手くいっても残り5分しか余りません。
でも、レイアウト作成が比較的得意な私(※先生からのお墨付きw)でも本番ではこれくらいで精一杯です。
なので、まだ経験の浅い受験生はおそらくキツキツです。
というのも、賞状レイアウト作成の数をあまりこなしていないと、基本的なレイアウトルールですらその都度参考資料などを確認しないと書くことができないので、調べること自体にすごく時間がかかってしまうんです。
確かに、1枚の賞状を書くのに1番労力を費やしているのはレイアウトルールを調べることかも知れないわ。
初見の文章を制限時間内にレイアウトして清書まですることはとても大変です。
1級試験で合格を目指すのであれば、やはりある程度のレイアウトのパターンを頭に入れておくことは必要です。
それが1番の時短になります。
誤字脱字チェックを身につける
1級試験本番で絶対に気を付けたいのが誤字脱字。
誤字脱字が1つでもあると、その時点で不合格になります。
そうならないためにも、普段から下書き後(清書前)には誤字脱字チェックをする習慣を身につけておきましょう。
うわぁ…誤字脱字は一発アウトなんだね。
そうなの。
本番って普段やらないような間違いを結構やっちゃうんだよね。
字は文句なしに上手い、レイアウトも完璧。
そんな人にも1級試験の審査は容赦なしです。
過去には、常に合格に値するデキでありながら誤字脱字などのミスを毎年やってしまい、7回目(※回数は曖昧ですが…)くらいでようやく受かったという方がいらしたそうです。
これはツラい…
緊張していると、普段なら間違えないような箇所でうっかりミスしてしまうことは多いです。
例えば、専門の「専」という字は右上にうっかり点を付けてしまったり、
財団の「財」という字は右辺を「寸」にしてしまったり…
これ結構あるあるなんだよね…
1級試験は午前試験と午後試験がありますが、午前中だけ受けて帰ってしまう受験生もたまにいます。
「午前試験で明らかなミス(誤字脱字とか)をしたんだろうな…」とみなさん察するんですよね。
清書前に必ず誤字脱字チェックをやること!
特に本番では時間がなくてもこれは必ずやりましょう。
紙を汚してしまった場合の対処方を試しておく
レイアウトは大丈夫そう、字も精一杯書けた!でも、ちょっと用紙を汚してしまった…
ということもよくあります。
上手くかけたときにこれやっちゃうと、ホント凹むよね…
そうだよね…
ただ、あくまでも最終手段ではあるんだけど、場合によってはごまかしが効くこともあるよ。
用紙の汚れがどの程度審査に影響するのかは私もよく分かりません。
ただ、汚すと見栄えが悪くなりますし、同じくらいのレベルの作品(汚れなし)と比較されてしまうと、本番では負けてしまうかもしれません。
上の画像のようにべったりと墨を用紙に落としてしまった場合にはまぁ、どうしようもないと思います。
が、ほんのちょっとの汚れの場合にはごまかしがきく場合もあります。
「カッターナイフで軽く汚れ部分を削る」という方法です。
賞状用紙は紙の厚さが普通紙に比べて少し厚めです。
軽くカリカリ削る程度であれば、用紙の表面についた墨をある程度目立たなくさせることは可能です。
私も初めての1級試験受験前に講師の先生からこの方法を教わりました。
そして、実際に1級試験で用紙を汚してしまった際にこの最終手段を使いました。
実際に本番でやってみて上手く汚れは消せた?
完璧に消せたかと言われると、さすがにそうはいかなかったんだけど、遠目で見るとほとんど分からないくらいにはなったね。
4回目の受験時にもこの最終手段使ったよ!
ただし、この方法は大事な用紙に穴を開けてしまうリスクがあります。
そのため、本番で使う可能性があるならば、練習時にも必ず試しておいてください。
力加減が結構難しいんだよね…
ご紹介はしましたが、これはあくまでも最終手段です。
用紙に穴を開けてしまっては取り返しがつきません。
とにかく、試験当日は用紙を汚さないことにも気を配るようにしましょう。
- カッターナイフを使う場合はくれぐれも用紙に穴を開けないように気をつけましょう。
- ちょっと削ってみてあまり効果がなさそうならその時点で削るのはやめましょう。
賞状技法士1級合格後
賞状技法士1級認定授与式
賞状技法士1級の合格者は、後日、認定授与式(東京・銀座)にて認定証書が手渡されます。
認定証書をもらうと、1級になったんだなって実感が湧いたね。
私が合格した年は受験者70名ほどのうち賞状技法士1級合格者が5名でした。
たった5名のための授与式は会場も小さくこじんまりとはしていましたが、喜びに満ちていました。
そして、授与式の後は講師の先生方との懇親会。
この年の合格者メンバーはこんな顔ぶれでした。
- 年配の主婦2名(うち1名は通信講座で受講されていた方)
- 既に会社をリタイアされている男性
- 働き盛りのバリバリ会社員女性
- 育休中会社員(※私)
※かなり時間もあいているので若干怪しいですが、確かこんなメンバーだったはず…
住む環境も年代も違う方々でしたが、同じ目標を達成した人たちとの会話というのはとても興味深く、自分にとっても参考になる内容ばかりでした。
筆耕士としての将来について考えるいいきっかけにもなったね!
賞状技法士1級取得後の講座受講は?
賞状技法士1級を取得したら、その後の講座受講はどうするの?
そこは人それぞれだね。
1級取得後も継続して講座受講する人もいれば、辞めちゃう人もいるよ。
私は既に賞状技法士1級を取得して何年も経っていますが、2023年現在も継続して通学で受講しています。
とはいえ、賞状技法士養成講座のカリキュラムはすべて一通り受講済みです。
それじゃあ、講座では何をやってるの?
基本は先生から出される賞状のお題に取り組んでいるよ。
でも、私はもう1つ+αで取り組んでいることがあるよ。
私の場合は、本業があるのでまだガッツリと筆耕のお仕事に携われているわけではありません。
でも、いずれは会社員を辞めて筆耕士として独立したい!と考えています。
そんなことを担当の講師の先生にお話したところ、将来のために賞状以外でも私のやりたいことを応援してくださることに!
例えば、長くやっていることの一つとして「行書」があります。
私は小筆の楷書となると字が硬くなる傾向があるので、行書になれることで柔らかい字を書けるようにするという目的があります。
また、私は「全国的にも名の知れた大きい神社またはお寺で御朱印書きをする」という筆耕士としての1つの目標があります。
御朱印は行書で書かれる場合も多いので、そういったことも想定して行書を練習しています。
こういった取り組みは通学だからといって必ずさせてもらえるわけではありません。担当の先生にもよるんです。なので、私は今の先生に担当いただけて感謝でいっぱいです♪
まとめ
賞状技法士1級認定試験について、試験の概要、受験体験談、合格後のことをお話しました。
マイナー資格であり、さらには1級合格もなかなか大変な試験ではあります。
ただ、1級取得するまでの過程はもちろん、1級取得後は確実に人生のどこかで役立つ資格です。
この記事を参考にされた方から「賞状技法士1級合格者」が出ることは私の夢のひとつです!
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