賞状や宛名書き、式辞など、美しい筆耕作品を見たことはありますか?
達筆な文字が並ぶ様子は、思わず見とれてしまいますよね。
実は筆耕の世界には私たちが普段書く縦書きの常識とは異なる、ちょっと不思議な慣習があるのです。
それは、縦書きの文章を左から右に向かって書くこと。
普段私たちが縦書きの文章を書くときは、右から左へと文字を綴るのが一般的です。
筆耕(実用書道)を知らない人に筆耕で縦書きするときは左から右に書くよと話をすると、たいてい「何で!?」と言われるよ。
一体なぜ、筆耕ではこのような書き方をするのでしょうか?
今回は、その理由を分かりやすく解説します。
筆耕で縦書きを左から右に向かって書く理由
筆耕は「墨」を使うから
筆耕では、墨を使って文字を書くからです。
文字を通常通り右から左に向かって書くと、書き終わった文字に手が触れてしまう可能性が高くなります。
墨は乾くまでに時間がかかるため、直前に書いた文字に手が触れてしまうと、せっかく書いた筆耕作品が汚れてしまいます。
特に、賞状や宛名書きなど、受け取る人にとって大切なものは、美しい仕上がりであることが求められるのです。
筆の持ち方の違いも!
「(芸術)書道でも墨を使うけれど、右から左に書くよね?」
そう思った方もいるかもしれません。
その理由は、筆の持ち方にあります。
書道では筆耕とは異なり、手首を浮かせて書くのが一般的です。
そのため、書き終わった文字に触れる心配が少なく、右から左へと書くことができるのです。
一方、筆耕では、鉛筆やボールペンを持つ時と同じように、手首を紙につけたまま書くことが多いです。
そのため、書き終わったばかりの文字に触れてしまう可能性が高くなります。
左から右に書くことで、この問題を回避できるね!
筆耕作品は美しい仕上がりが大事
筆耕では、全体のバランスを見ながら文字を配置していくことが重要になります。
特に縦書きで左から右へと書く場合は、下書きを丁寧に行い、文字の大きさや配置などをしっかりと決めておく必要があります。
例えば、縦書きの賞状を書く場合を想像してみてください。
右から左に書くならば、文章の始めから終わりに向かって書き始めるため、全体のバランスを見ながら自然な場所で改行できます。
しかし、左から右に書く場合は、文章の終わりから始めに向かって書き進めるため、あらかじめ改行の位置を決めておかないと、文字が入りきらなかったり、行間が不揃いになったりしてしまいます。
そのため、筆耕では下書きの段階で、文字数や行数、全体のバランスなどを考慮して配置を決めます。
これにより、最終的な作品の完成度が大きく向上するのです。
筆耕で縦書き文字を左から右に書く理由:美しい仕上がりを守る工夫
筆耕で縦書きの文字を左から右へ向かって書く理由は、美しい仕上がりを守るための工夫でした。
また、下書きの重要性も美しい作品を生み出すために欠かせない要素です。
一見すると不思議な慣習ですが、その背景には、筆耕士たちの長年の経験と作品へのこだわりが詰まっているのです。
筆耕には、やってみなければわからない魅力がたくさんありますので、気になった方はぜひ実用書道を学んでみてください。
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きっと、新たな発見が待っているよ!
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